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救命処置の流れ
感染を防止するために
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、応急手当を行う方の感染を防止するため、以下の点を気をつけてください。
- 反応と呼吸の確認観察時には、傷病者の顔にあまり近づき過ぎない。
- 胸骨圧迫の前に可能ならば、ハンカチやタオルを傷病者の鼻口にかぶせる。(マスクや衣服でも代用可)
- 大人への心肺蘇生は、胸骨圧迫のみを行う。(人工呼吸は省略)
- 子どもへの心肺蘇生は、講習を受けていて、人工呼吸を行う意思がある場合には、胸骨圧迫に加えて人工呼吸を行う。
- 救急隊へ引き継ぎ後は、口元にかぶせたハンカチやタオルなどには直接触れずに廃棄し、速やかに石鹸と流水で手と顔を十分に洗う。
心肺蘇生法とAEDの使用
1 安全を確認する
傷病者の救助の前に、自らの安全確保を優先します。
まず、周囲の安全を確認し、状況にあわせて自らの安全を確保してから近づきます。
2 反応(意識)を確認する
傷病者に近づき、その耳元で「大丈夫ですか?」「もしもし」と大声で呼びながら、肩を軽くたたき反応があるかないかを確認します。
『ポイント』
呼びかけなどに対して、目を開けるか何らかの返答又は目的のあるしぐさがなければ「反応なし」と判断する!
- 反応(意識)がない場合やあるかないかの判断に迷う場合
助けを呼ぶ~119番通報へ - 反応(意識)がある場合
傷病者の訴えを聞き、必要な応急処置を行います。
(ケガ・病気に対する応急手当のページへ)
3 助けを呼ぶ~119番通報とAEDの手配
意識がなければ、「誰かきてください!人が倒れています!」と大声で人を集め
- 「あなたは、119番へ通報してください」
「近くにAEDがあれば、持ってきてください」と伝えます。 - 救助者が二人以上いる場合は、一人が心肺蘇生法を開始します。
他の人が119番通報しAEDを持ってきます。
救助者が一人だけの場合、まず自分で119番通報をします。
すぐ近くにAEDがあることがわかっていたらAEDを取りに行きます。
119番通報すると、通信指令員が次の手順を指導します。
4 呼吸の確認
ふだんどおりの呼吸をしているか確認します。
傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、ふだんどおりの呼吸をしているか判断します。
『ポイント』
ふだんどおりの呼吸なしの判断は
- 胸や腹部の動きなし!
- 約10秒間確認しても、呼吸の状態がよくわからない!
- あえぎ呼吸(途切れ途切れのしゃくり上げるような呼吸)!
- ふだんどおりの呼吸なし
胸骨圧迫(心臓マッサージ)へ - ふだんどおりの呼吸あり
回復体位のページへ
5 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
ふだんどおりの呼吸がないと判断したら、ただちに胸骨圧迫を開始し、全身に血液を送ります。
- 成人の場合(約8歳以上)
胸の真ん中を重ねた両手で5cm程度の深さで「強く・早く・絶え間なく」圧迫します。
小児の場合(1~8歳未満)
手順は成人と基本的に同じですが、圧迫の深さは体格が違うため、両手または片手で胸の厚さの3分の1が沈むほど絶え間なく圧迫します。 - 乳児(約12ヶ月未満)の場合
手順は、成人・小児と基本的に同じですが、圧迫の方法は指2本(中指と薬指)で行います。
圧迫の位置は、両乳頭を結ぶ線の少し足側を目安とした胸の真ん中です。
圧迫の強さ(深さ)は、胸の厚さの約3分の1を目安として、絶え間なく圧迫します。
『ポイント』
・両手を重ねて胸が5cm(小児・乳児は胸の厚さの3分の1)沈むほど圧迫する!
・1分間に100〜120回の速いリズムで30回圧迫する!
・垂直に圧迫する!
・「強く・速く・絶え間なく」圧迫する!
・ケガをしている場合は、血液による感染に気を付ける!
6 人工呼吸
口対口(口鼻)人工呼吸により、肺に空気を送り込みます。
気道を確保【片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ、あご先を上げます。】したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。
口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気がもれないようにして、息を約1秒かけて胸の上がりが確認できる程度吹き込みます。
いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。
- 成人(約8歳以上)・小児(1~8歳未満)の場合
気道を確保し、額に当てた手の指(親指と人差し指)で鼻をつまみ、自分の口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気がもれないようにして1回に約1秒かけて胸の上がりが確認できる程度に2回吹き込みます。 - 乳児(約12ヶ月未満)の場合
口対口鼻人工呼吸で行います。もし、口鼻を同時に覆うことができなければ、口対口人工呼吸を行います。
成人・小児と同様に、1回に約1秒かけて胸の上がりが確認できる程度に2回吹き込みます。
『ポイント』
・人工呼吸がためらわれる場合は、人工呼吸を省略し、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う!
・人工呼吸のみでは実施しない!
7 心肺蘇生法の実施
胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸の組み合わせ(胸骨圧迫30回と人工呼吸2回のサイクル)を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続けます。
『ポイント』
疲れるので、救助者が2人以上いる場合は、約2分間(5サイクル)程度を目安に交代する!
心肺蘇生法を中止する時期
- 普段どおりの呼吸が戻って、呼びかけに反応したり目的のあるしぐさが認められたとき
- 救急隊に引き継いだ時
(救急隊が到着してもあわてて中止せずに、救急隊の指示に従う)
AEDの使用手順(成人と小児のみ)
1 AEDの到着と準備
届いたらすぐに準備を始めます。
傷病者のそばに置き、電源ボタンを押します。
メッセージとランプにしたがって使用します。
電極パッドを貼ります。
『ポイント』
電極パッドを貼る際にも胸骨圧迫は止めない!
体が濡れている時は拭き取る!
アクセサリなどの上から貼らない!
貼り薬ははがす!
※未就学児用パッドは、成人(約8歳以上)に使用しない!
- AEDの電源を入れます。
AEDのふたを開け、電源ボタンを押します。(ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。) - 電極パッドを貼る
傷病者の胸をはだけます。
電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の胸の肌にしっかりと貼り付けます。
電極バッドは、胸の右上(鎖骨の下)と胸の左下側(脇の5~8cm下)の位置に貼り付けます。
(貼り付ける位置は、電極パッドに絵で表示されていますので、それにしたがってください。)
2 心電図の解析
心電図の解析を行います。
- 解析中は音声メッセージにしたがい離れます。
「ショックは不要です」などの音声メッセージが流れた場合は、ただちに胸骨圧迫を再開します。
3 電気ショック
電気ショックを行います。
『ポイント』
傷病者から離れて、誰も触れていないことを確認してから行う!
- ショックボタンを押します。
電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉が一瞬けいれんしたようにビクッと動きます。
4 心肺蘇生法の再開
電気ショックが完了したら、すぐに胸骨圧迫から心肺蘇生法(胸骨圧迫30回:人工呼吸2回)を開始します。
- ただちに胸骨圧迫を再開します。