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西矢倉台西堀切
■調査期間 平成13年度7月10日~平成13年度10月3日
■調査場所 太田市金山町40-182他
西矢倉台西堀切は、西城から実城までの間にある4つの堀切のうち、一番西城寄りにある堀切です。
北端部を東西に通る現況ハイキング道を園路整備するにあたり、西矢倉台下堀切と同様に、現況ハイキング道下における土橋状遺構の存在の有無を確認し、堀切内に往時の通路面があるかどうかも併せて確認調査を行いました。

西矢倉台西堀切調査前現況(北から)

西矢倉台西堀切周辺平面実測図
1. 第1トレンチ
調査の結果、西方向から西矢倉台西堀切へ向かって降りる、硬化した「スロープ状」の通路面が確認されました。
西方向から西矢倉台西堀切へ降りる
スロープ状通路(西から)
※手前(西側)では、一部に石敷き状の
遺構も認められました。
西矢倉台西堀切へ降りるスロープ状通路(南から)
堀切内からは、スロープ状通路の南側で、堀切内へ降りていく「段状」の通路面も見つかりました。この「段状」の通路面には、石敷き状の遺構が顕著に見られています。
西矢倉台西堀切内で確認された南へ下る「段状」
の通路面(北から)
西矢倉台西堀切内で確認された北へ上る
「段状」の通路面(南から)
西矢倉台西堀切内で確認された南へ下る
「段状」の通路面断面(北西から)
西矢倉台西堀切内で確認された北へ上る
「段状」の通路面断面(南から)
※青ラインが「段状」の通路面になります。
西矢倉台西堀切内には、「元禄太田金山絵図」に絵が描かれている通路があった可能性が非常に高くなってきました。
2. 第1トレンチ北西側
調査の結果、西矢倉台西堀切の西側では、土塁状の高まりが確認され、裏込めに使用した可能性も有する栗石が認められました。しかし、根石が全く存在しないため、栗石を盛り上げただけの、堀切内通路を通る人を外部から隠すための施設であった可能性が高くなりました。
西矢倉台西堀切の北西側では柱穴列が見つかり、堀切内部へ降りる通路より北側へ行かせないための「柵列」と考えられます。
西矢倉台西堀切の北西側における面的な調査により、堀切の西側に凝灰岩の栗石で盛り上げた土塁状遺構と柵列が見つかり、堀切内下降りる通路形態と「通路を隠す」ための施設の存在が明らかになりつつあります。
西矢倉台西堀切の西側で
確認された土塁状遺構(北東から)
西矢倉台西堀切手前(西側)の土塁状遺構(西から)
3. 第2トレンチ
第1トレンチで、堀切内を南へ降りていく「段状」の通路面が見つかったため、第1トレンチの南側に第2トレンチを設定して調査を行いました。
調査の結果、崩落石の層下から一部に石敷きされた通路面が見つかりました。

西矢倉台西堀切第2トレンチ北端の土層断面(南より)
※手前が石敷き状の通路面
第2トレンチの通路面は、スロープ状を呈しており、勾配が約20%もある急な坂道であったことがわかりました。
西矢倉台西堀切内第2トレンチで確認された
北へ上る「スロープ状」の通路(南から)
西矢倉台西堀切内第2トレンチで確認された
南へ下る「スロープ状」の通路(北から)
4. 第3トレンチ
スロープ状の通路が見つかった第2トレンチの南側に第3トレンチを設定して調査を行いました。
調査の結果、第3トレンチからは石階段のステップと石敷きされた通路が見つかりました。
西矢倉台西堀切内第3トレンチで確認された、
北へ上る「スロープ状」の石敷きされた通路(南から)
※奥が石階段
西矢倉台西堀切内第3トレンチで確認された、
南へ下る「スロープ状」の石敷きされた通路(北から)
※手前が石階段による段差
西矢倉台西堀切内第3トレンチで確認された、
北へ上る「スロープ状」の石敷きされた通路(南から)
※奥が石階段ステップ
西矢倉台西堀切内第3トレンチで確認された、
北へ上る「石階段」のステップ(南から)
※石階段のステップは、孤を描いて置かれていました。
5. 第4トレンチ
石階段のステップと石敷きされたスロープ状の通路が見つかった第3トレンチの南側に、第4トレンチを設定して調査を行いました。
調査の結果、第4トレンチからは、石階段のステップが3箇所から見つかりました。
西矢倉台西堀切内第4トレンチ掘り上がり状態(南から)
※岩盤が急激に落ちる北側まで通路面が
造成されており、石階段(橙)が
3箇所で見つかりました。
右側の岩盤の赤ラインは、堀切から東へ
折れる通路です。(緑は柱穴)
西矢倉台西堀切内第4トレンチで確認された、
「石階段」ステップ(南から)
西矢倉台西堀切内第4トレンチで確認された通路(北から)
※石階段ステップの間は、一部石敷きされていました。
西矢倉台西堀切内第4トレンチで確認された、
「石階段」ステップ(南から)
※石階段ステップは、
第3トレンチの石階段ステップと同様に、
一部、孤を描いて置かれていました。
6. 第4トレンチ東側通路
第4トレンチの南端では岩盤が急激に落ちており、堀切内通路がどのように東側へ折れるか、その通路形態を確認するため、面的に調査を行いました。
調査の結果、堀切東側の岩盤斜面に、造成された痕跡と柱穴列が見つかりました。
西矢倉台西堀切東側の斜面の造成面下で
見つかった柱穴列(西から)
西矢倉台西堀切東側の斜面で確認された
造成面(西から)※赤ラインの間が造成面
西矢倉台西堀切東側の斜面で確認された
造成面と柱穴(西から)
西矢倉台西堀切東側の斜面の造成面下でv 見つかった柱穴列(西から)

造成された面では、岩盤による段差も見られました
西矢倉台西堀切の東側斜面で見つかった造成面と柱穴列については、造成面を通路面、柱穴列を柵列と考えましたが、造成面と柱穴列の間隔が広すぎること、さらに、造成面の南側が法面状になっていることから、「桟敷状(さじきじょう)の懸け造り」の通路であった可能性も出てきました。
7. 西矢倉台西堀切南西部(石列)
西矢倉台西堀切の西側の「蔀(しとみ)」状の高まりは、西側へのレキ層の崩落が見られました。この崩落層下からは、石列が見つかりました。
西矢倉台西堀切の西側の崩落層と石列(南から)
西矢倉台西堀切の西側の凝灰岩レキの崩落状況 (南から)

石列(南から)
石列は、崩落したレキ層下から見つかり、かつ、石列ラインは堀切東側の通路想定ラインと一致しています。このことから、石列は、西矢倉台西堀切内に通路が造られる以前の「通路縁石」であったと考えられます。

