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未処理汚水を流さないで!〜居抜き物件は要注意〜

6 安全な水とトイレを世界中に11 住み続けられるまちづくりを
ページID:0001518 更新日:2022年12月6日更新 印刷ページ表示

近年、居抜き物件における汚水垂れ流しが増加しています!

近年、道路側溝や農業用水路に未処理汚水を流していることで市に苦情が寄せられるケースが増えています。

特に、居抜き物件では元から設置されている浄化槽の能力と事業内容が合っていなかったり、そもそも浄化槽を経由させずに無許可で水路に放流している場合があります。

営業を開始してから問題が発覚し、浄化槽を入れ替えるのは、事業者にとって多大な負担となります。

居抜き物件で営業を始める場合は次のことに注意して営業を開始してください。

その浄化槽で大丈夫?

居抜き物件の場合、リフォームするための建築確認申請が不要となる場合があります。

その際、元々設置されている浄化槽がこれから始める飲食店で発生する汚水を処理するのに見合った能力であるか、よく確認しないまま飲食店営業を始めてしまうケースがあります。

一般的に飲食店から排出される汚水は高負荷であり、事務所向けに設置された小規模な浄化槽では処理しきれません。これでは未処理汚水を垂れ流ししているのと変わりません。

また、飲食店といっても寿司屋とラーメン屋では発生する汚水の量や負荷が違いますし、同じラーメン屋でも、あっさり系とこってり系では汚水の負荷が全然違います。

大きな浄化槽に入れ替えるには何百万円もの費用がかかるほか、入れ替え工事をしている間は営業をすることもできなくなってしまいます。

居抜き物件で飲食店営業を始める場合は、元々設置されている浄化槽がこれから始める事業内容に合ったものか、事前に専門業者に相談し、能力が足りていない場合は別の物件にするか、浄化槽を入れ替える必要があります。

水路管理者の許可(承認)を得ていますか?

すでに排水管が水路に接続されている物件であっても、使用者が変わる場合は再度許可(承認)が必要となります。

太田市道であれば太田市、群馬県道であれば群馬県から許可(承認)を得る必要があります。

また、農業用水路又は農業用水路につながる水路であれば太田市だけでなく水利組合からも許可(承認)を得る必要があります。

こうした場合のほとんどで、浄化槽が設置されていない場合は水路に汚水を流す許可(承認)はされません。

つまり、未処理汚水を流しているのであれば、何らかの違反や無許可となっている可能性が高いと言えます。

排水基準を守っていますか?

群馬県では、水質汚濁防止法の適用を受けない事業場や店舗であっても、排水基準が設定されています。

排水量が日平均10立方メートル以上の場合は特定排出水基準が適用されます。(罰則あり)

排水量が日平均10立方メートル未満の場合であっても、排出水指導基準を遵守するよう指導しています。

浄化槽が設置されている場合は、排水量に関わらず放流水の排出基準が設定されています。(罰則あり)

排出水指導基準については罰則の規定はありませんが、これを遵守できない場合はそもそも水路への汚水の放流を許可(承認)されない可能性があります。

なかなか排出水を測定することはないかもしれませんが、事業内容に合った能力の浄化槽であれば遵守できる基準となっています。

浄化槽は適正な管理をしていますか?

浄化槽は生き物です。内部ではバクテリアが一生懸命汚れを食べてくれています。

ここに熱いお湯を大量に流してしまうと、バクテリアは死んでしまいます。

漂白剤などの薬品を大量に流しても、バクテリアは死んでしまいます。

熱いお湯を流す場合は同時に冷たい水道水を流すか、冷ましてから流してください。

漂白剤などの薬品は大量に使わず、少量で数日に分けて使用しましょう。

また、よく定期的に汲み取りをしているから大丈夫!と言う方がいらっしゃいますが、汲み取りだけではダメです。

浄化槽は、定期的に専門家(浄化槽管理士)に点検をしてもらい、必要に応じて機能やバクテリアの調整をしなければなりません。

油水分離槽(グリストラップ)も毎週(事業内容によっては毎日)点検し、こまめに清掃しなければ浄化槽に油分が流れ込み、うまく機能しなくなってしまいます。

浄化槽は生きているということを忘れず、隠れた従業員(バクテリア)にも気をつかってあげてください。

苦情が発生してしまったら

事業内容に見合った能力で、適正に管理された浄化槽で処理した汚水であれば、苦情は発生しません。

必ずどこかに問題があるからこそ、苦情が発生しているのです。

特に飲食店の場合、そういった不衛生な問題が発生し近隣住民や利用客から口コミで広まってしまうと客離れにつながり、致命的なダメージとなります。

すぐに専門業者やコンサルに相談し、問題を見つけ出すとともに速やかに改善の措置をとりましょう。

実際にあった居抜き物件でのトラブルの例

  • 元々事務所であった居抜き物件で飲食店を開業。汚水の処理についてはまったくチェックせず営業を開始したところ、設置されていたのはトイレ用の浄化槽のみで、厨房からの排水は未処理・無許可で水路に放流していた。利用客から市に通報があり、事態が発覚。あわてて地下浸透方式にするも、すぐに浸透枡が詰まってしまい、何百万円もする浄化槽を設置しなければならなくなった。現在は物件を紹介した業者や土地所有者と金銭トラブルになってしまった。
  • 元々コンビニエンスストアであった居抜き物件で飲食店を開業。上記の例同様に設置されていたのはトイレ用の浄化槽のみで、厨房からの排水は未処理で・無許可で水路に放流していた。水路沿いに住む住民から市に通報があり、事態が発覚。浄化槽を設置するまでの間頻繁に水路の清掃をしなければならなくなり、浄化槽を設置するため開業資金とは別に新たに何百万円も借金をせざるを得なくなった。
  • 元々本屋であった居抜き物件で飲食店を開業。設置されていたのはトイレ用の浄化槽のみで、これに厨房からの排水を処理させたところ、浄化槽がほとんど機能せず未処理汚水が道路側溝に放流されていた。地元区長から市に通報があり、事態が発覚。浄化槽を大きなものに入れ替えようとしたが資金のめどが立たず、結局怒った管理人に追い出され借金だけが残ってしまった。
  • 元々蕎麦屋であった居抜き物件でラーメン店を開業。設置されていた浄化槽は飲食店向けの大きさであったが、こってり系のラーメン排水を処理できる能力ではなかったため、浄化槽が機能せず未処理汚水を農業用水路に放流していた。地元の区長や住民、水路管理者から集団で市に通報され、大きな騒ぎになりかけたが、直ちに浄化槽をより大きなものに入れ替えたため、何とか営業を続けることができた。

トラブルを回避するには

排水のトラブルを回避するには、物件選びの段階で浄化槽の有無と大きさを確認するのが重要です。

また、店舗を設計をするにあたって、排水がどこに流れどこに放流されるのか業者に確認してみましょう。

そして、設計が済んだ段階で水路管理者に許可(承認)の申請をしましょう。

営業を開始したら、こまめな点検・清掃・メンテナンスにより、浄化槽に優しい営業を続けましょう。