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金剛寺の円仏及び妙蓮板碑
この板碑が出土した岩松町の延命山地蔵院金剛寺は、岩松直國の開基と伝えられています。
比丘尼妙蓮は、岩松直國への譲状(弘安5年・1282)に見られる藤原土用王のことで、岩松氏の祖、岩松時兼の孫であると思われます。沙弥円仏は系譜は不明ですが、妙蓮の夫と推測されています。
銘文は、達筆な行書で書かれており、円仏・妙蓮夫妻が、生前極楽往生を願って、彼岸の中日に建立したものです。円仏板碑は、高さ147.5cm、幅34cm、妙蓮板碑は、高さ145cm、幅34cmで、2基とも同じ形をしています。石材は緑泥片岩(秩父青石)を使用しており、武蔵型板碑と称されているものです。
2基の板碑には、蓮華座上の月輪内に阿弥陀如来をあらわす主尊種子の「キリーク」が、また、脇侍種子として、下左方に観音菩薩をあらわす「サ」、右方に勢至菩薩をあらわす「サク」が力強く彫りこまれています。さらに脇侍種子の下には、銘文が刻まれています。種子、蓮華座、銘文等の刻法は、鎌倉時代の特長をよく表しており、形も大きく、石造美術としても優秀であるとともに、史籍の欠を補う貴重な資料です。
円仏板碑(写真左) | 右志者為比丘尼妙蓮逆修 正和四季乙卯八月時正敬白 善根出離生死證大●也 |
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妙蓮板碑(写真右) |
右志者為沙弥圓仏逆修 ※●は菩薩の異体字 |
指定区分 | 市指定重要文化財[石造文化財] |
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指定年月日 | 昭和50年10月8日 合併に伴い、平成17年3月28日に改めて新市の文化財として指定されました |
所在地 | 太田市世良田町3113-9(新田荘歴史資料館寄託) |