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国境争論幕府裁許絵図・裏書 附 木箱及び前小屋村古絵図
河川は、現在のように堤防が整備される以前は、大雨による洪水などにより、氾濫を繰り返してきました。利根川流域には氾濫によって境界が押し流されたことにより、訴訟沙汰が数多く起きています。
この図(裏書)は、貞享2年(1685)10月に起きた国境問題の江戸幕府による裁許(裁判判決書)です。上野国武蔵島村・二ツ小屋村・前小屋村(群馬県太田市)と武蔵国石塚村・本田谷戸村・高島村(埼玉県深谷市)の間で起きた争いで、被告側に立たされた上野国武蔵島村ほか2ヶ村の完全勝利に終わっています。
この裁許絵図は、江戸幕府の裁許(裁判)記録や江戸時代に氾濫を繰り返した利根川の貞享2年の洪水・川欠(洪水により耕作できなくなった田畑)の記録としても重要です。現在の利根川は、貞享2年の裁許絵図の流路より二ツ小屋村・前小屋村付近で大きく南に張り出しています。対岸の南前小屋(現在は埼玉県深谷市の一部)と武蔵国(埼玉県)との国境界は、この裁許絵図により確定したものと考えられています。
国境争論幕府裁許絵図裏書
指定区分 | 市指定重要文化財[歴史資料] |
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指定年月日 | 平成13年2月19日 合併に伴い、平成17年3月28日に改めて新市の文化財として指定されました |
所在地 | 太田市世良田町3113-9 新田荘歴史資料館 |