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第5回下水道講座 (3)太田市のこれからの下水道事業等の戦略
下水道事業のこれから
太田市では、1966年(昭和41年)より、下水道施設等の整備を進め、約50年が経過しました。主に、市街化区域を対象に公共下水道等事業、市街化調整区域については、地域の特性に合わせ戸別浄化槽やその他の事業に取り組んでいます。
太田市に限らず、全国的な下水道事業の運営は、今後さらに負担が大きくなると想定されます。
上記に示すように、将来的には「負担」が増え、より一層の「効率化・費用の削減」が必要となってきています。
浄化槽と下水道のベストミックス
1966年(昭和41年)の下水道事業開始当初は、現在のような性能のよい浄化槽はなかったため、市内の公衆衛生をよくすることを目的に下水道の整備を次々に行ってまいりました。しかし、それから時は経ち、現在は下水道設備の老朽化に伴う更新工事の必要が生じるようになり、『下水道を整備する時代』から『下水道を修理する時代』へと変化していきました。
2018年(平成30年3月)に群馬県が策定した「群馬県汚水処理計画」に基づき、「太田市アクションプラン」を策定しました。
「群馬県汚水処理計画」の概要
下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽などの汚水処理施設を効率的かつ適正に整備するため、汚水処理施設の特徴を生かし、地域の地形や集落の状況などに適切に対応できるよう、各地域に最もふさわしい汚水処理施設を定めた計画 ◯方針1「下水道等と合併処理浄化槽のベストミックスの更なる推進」 → 人口密度の低い未整備地域などには、合併処理浄化槽による整備を進める。 ◯方針2「広域化・共同化による市町村維持管理費の負担軽減」 → 市町村が管理する汚水処理施設を県が管理する流域下水道等へ接続する。 ◯方針3「浄化槽処理促進区域の指定推進」 → 単独処理浄化槽等からの合併処理浄化槽への転換を進める。 |
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<ベストミックスのイメージ>
「太田市下水道事業等経営戦略」の概要
2016年(平成28年1月)総務省からの「経営戦略」の策定要請により、2019年(平成31年3月)に中長期的な基本計画を策定しました。当初策定から5年を経た2024年(令和6年3月)に経営戦略を改定しました。
地域の特性に応じた汚水処理方法により以下の下水道サービスを提供している。
公営企業として、独立した特別会計をもち、事業の運営を行っている。 |
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1.計画的な改築更新・処理施設の統廃合(課題:施設の老朽化) 管渠については、ストックマネジメント事業に基づく予防保全型の管理を進め、優先度により改築更新を行うことで、投資を平準化(投資にかかる費用を翌年度以降に先送りする)します。 処理場については、改築費用を低く抑える効果が得られるため、目標耐用年数(標準耐用年数の1.5倍)で改築工事を行います。 太田市汚水処理構想基本計画において公共下水道処理施設への接続が有利とされ、老朽化及び人口密度の高い市街化区域の処理を優先的に公共下水道施設へ接続することを前提として処理施設の統廃合に取り組みます。 2.使用料の改定(課題:経費回収率の低迷) 人口減少が進む中、下水道区域を広げ新たな接続を増やすなどして有収水量の大幅な減少を食い止めることを予想していますが、不足する財源を確保するため、市民の過度な負担感を抑えながら使用料単価の改定に取り組まなければなりません。 今後10年間で2回の改定とし、市民の負担を比較的ゆるやかにしながら、経費回収率100%を達成します。 3.未整備地域の整備促進・整備済地域の接続促進(課題:有収水量の減少) 本市では、太田市公共下水道事業計画を策定し、計画区域や将来人口などを定期的に見直しながら計画変更を行っています。未整備地域の整備を推進するため汚水管渠の新規整備に取り組みますが、整備率が90%を達成した後は、投資を施設の更新費用へシフトさせるため、新規整備面積を抑えます。 また、人口減少による有収水量の大幅な減少を抑えるため、普及啓発活動を行い、下水道未接続者への戸別訪問を実施し、接続促進を図ります。 |
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★今後老朽化が進む下水道施設については、 ★老朽化した施設の改築ではなく、処理施設の統廃合に取り組もう! ★税金からの繰入れに頼らずやっていけるように、下水道使用料を見直そう! ★将来かかる費用を考え、下水道を整備する地域を見直していこう! ★下水道整備が非効率な区域には、合併処理浄化槽の使用を推進しよう! |
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