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今年のお正月休みは長かった。暮れにネクスコ東日本の方が挨拶(あいさつ)に来た。「お正月休みの混雑具合はどんなになりますか」と聞くと「前年比150%のようですよ」。休みに入る前から混雑状況が分かる。どこかで誰かが予測している。それが当たったりする。今年はいかがでしたか。
12月に入って「今年も予定しておきますが」と会長さんからご挨拶をいただく。「分かりました。喜んで」と答える。気軽に答えているが朝6時からの会合で45分くらいの卓話。自分の考えていることを率直にお話しするわけで、苦とは思わない。朝6時からというのがちょっと問題、5時に起きなければ間に合わない。二度寝をしてしまって大遅刻という失態もあった。実は、この団体には世話になった。市長になったとき「さて、どんな形の初出勤にするか」と考えていた。ずいぶん昔の話だ。よく見る光景は市役所から迎えの車が来る。それに乗り、役所の正面玄関で降りる。おもむろに庁舎内に足を踏み入れる。職員が拍手、そして花束が渡され、笑顔で会釈。一般的なこの光景が自分らしくないと思っていた。相談をしたのが団体の面々。「それがいいんじゃないの」と意見を交えて賛成してくれたのが『迎えてもらう』のではなく『職員を握手で迎える』という逆転の発想だった。その日は小雨が降っていた。私は1時間ほど前に市役所に着き、片手で傘をさし玄関で職員を出迎える準備をした。不思議な緊張感があった。一人一人の職員の手は温かかった。「一緒にやりましょう」という感覚を共有できた。逆転の発想は正解だった。あれから毎年暮れには5時起きして卓話をしている。
全国あちこちで講演してきた。中身はいつも「相手の目線」である。22日㈬に市民会館で河野景子さんが「生き抜くための踏ん張る力」と題して講演する。きっと何かを置いていってくれる。いらしてください。